動的耐震診断でわかること

小さな地震で建物を揺らして計測する動的耐震診断でわかることは、木造住宅の耐農性を判断する上で、もっとも大切な、「建物物全体の硬さ(揺れやすい建物かどうか)」と、「建物各部の硬さのバランス(揺れ方のパランス)」です。これらは、小さな地震にも大地震にも共通に現れる建物の特性です。このデータをもとに、「震度いくつの地震まで安全性が高いか」を解析して数値で表しています。

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動的耐震診断は必要なの?

建物の耐震性は、
1.壁や筋かいがどれだけたくさん入っているか(建物全体の垣さ)
2.壁や筋かいがパランスよく入っているか(建物の揺れのバランス)
3.柱や梁、壁などの構造部分が丈夫に緊結されているか(接合部の耐力)
4.基礎や土台は大丈夫か、などがポイントとなります。
動的耐震診断で分かるのは、そのうちもっとも大切な、「1」と「2」の部分です。 「3」、「4」につきましては、より多角的な検討を行うためにも、動的耐震診断で耐震補強が必要と判断されたときに利用されることをお奨めしています。 小さな地震から推測することが難しい、基礎や接合金物が大地震でも耐えられるかどうか等については、専門家が目で見て判断する必要があります。
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動的耐震診断を行う意義

木造住宅は、建物の老朽度や使用している材料の質、建築時の施工精度などが個々に異なっていて、年数を経た建物の耐震性について、建築時の図面だけから導き出すのは並しい一面があります。したがって、建物を実際に揺らして建物の現在の状態を実測することに大きな意義があります。また、小さな地震の揺れから大地震時の披害を推測するこの手法には、限界もあります。この点を克服するため、実際の建物に地震に相当する力を加える試験を行いました。これによリ、動的耐震診断の精度を確認し、さらに、地震により建物に加わる力と建物の被害の関係を詳しく調べることで、小さな地震の揺れから大地震時の被害を推測するこの手法の精度向上を図っています。

動的耐震診断導入のきっかけ

yuki01尾上組の尾上結希です。この動的耐震診断には、大工である私が直接お伺いし、調査させていただきます。
導入のキッカケとなったのはTVのニュース番組で、私共が今おこなっている動的耐震診断の映像を見たことでした。建築に携わる人間として、それはあまりにも衝撃的な映像でした。
私は、大工職人の息子として生まれ、大工の道を歩んできました。
私たちが「木組み」である日本の伝統構法で家を建て、そして「強い家」ができたことを、経験と職人としての勘で感じてもいます。寺社仏閣に代表される日本古来の木造建築が、永きにわたり残っているのもその例でしょう。
さらに加えて、この動的診断では実際に家を揺らすことによって「建物の硬さ」「建物のバランス」「地盤の支持力」という、建物にとって最も重要なことが、データ解析された数値によって把握出来ます。簡易耐震診断の評価結果では、具体的に「どこをどう補修すればいいのか?」が解らない場合も多いでしょう。
この動的耐震診断方法の「弱い部分を見つけ出す」という優れた機能を活用しないのはもったいないと感じ、私共はこのシステムを導入しました。大切な財産である家を診断してみることにより、暮らしに「安心」を添えることができるはずです。