健康志向のための土壁

土壁の効能

土壁まず梅雨時などの、嫌な湿気を、低減することです。実際に生活していても実感できる効果です。同時に断熱効果が、肌で感じる程大きいです。
そして自然素材なので、シックハウスなどは無縁。
万が一の際の耐火性能にも高く、土壁そのものの粘りで耐震性能も向上することがあげられます。

荒壁土

古来から、民家の壁には土壁(荒壁土)が、施されてきました。 それは、日本の気候である高温多湿という環境を、快適に、暮らすため先人達が考えたすばらしい工法であるといえるでしょう。
現在では、かなり少なくなってきていますが、尾上組では、今でも必ず土壁を採用します。 蔵などで分かるように、土壁を多様に使うことで、一年中、湿度・温度を一定に保ちます。塗れば塗るほどに、その効果が増していると考えられます。

発酵土

DSC_2650発酵土は、土壁(荒壁土)を発酵させたものです。荒壁土に大量の稲わらを投入し、水(雨水)をはって待ちます。水をはった土壁プールの中では、稲わらが腐り、プクプクと泡が湧き上がり発酵土となります。この事を先人は、「土を寝かせろ」と言ってきました。

発酵土にすることで、土壁の強度・耐熱・粘りが増すと考えます。何より実感できるのは、空気の浄化作用(自社実験中)です。
空気環境には腐敗環境(化学物質などを多用した環境)と発酵環境(発酵土や自然素材のみを使用)があるらしく、腐敗環境では物質は早期に腐り、発酵環境では空気の浄化効果で格段に腐りにくいデータがあります。

DSC_2846この話を室内に例え、どちらの環境で生活したいか考えると差は大きいと思います。
伝統構法の要素の中には、自然素材(土に還る素材)で造ることがありますが、それは様々な効果を期待でき、自然にあるものを、ごく当たり前に使い、次世代にゴミを残さないのも我々、伝統大工の使命と捉えています。

土壁の施工

土壁土壁の下地は、古来から竹を使用しています。人間でいう『骨』の枠割りを果たします。
その竹を柱にして、貫通させた貫に、縄でしばって固定していきます。
材料となる土は、同じ環境という意味で、その土地のものを使うのがよいとされています。
その土地の環境・風土にあった土で作る土壁、もしご自分の山などから採った土などであれば、感動も一入(ひとしお)でしょう。
10センチ程度にきざんだわらを混ぜ、練り込みます。土と土をつなぐ役割です。
当社では、さらに籾殻(もみがら)も入れ、割れをおさえる効果を出しています。
内側からと、外側からそれぞれ土を塗り込み、乾燥させて完成です。