5月初旬から、伝統構法石場立風の家建てています。
釘・金物は使用せず伝統的に木と木を組み合わせ、建て前にはかけや(大きな木槌)で部材を打ち組みこんでいく。
そこに機械的な音はなくコーンコーンと木と木がめり込んでいきます。
この音には魔よけの意味もあるらしく「良いこととだよ」とあるお寺の住職さんに聞いたことがあります。
いまでは、珍しくなったものの、ほんのちょっと前までは、ごく当たり前の風景でした。
年配の方が前を通られますと珍しそうに立ち止まりしばし見とれておられるのを何度か目にし、がぜん力が入ります。
大工仕事の中で建て前は、体力的にも精神的にも一番疲れます。
僕は棟梁として10年近くなりますがそれはいつも変わることはありません。難しい仕事をすればするほどに疲労度
は増していきます。
でも、棟が納まりすべての材料が一つになったときその疲れが自然と消えるそんな感じでしょうか?
毎回、新しいこと(その時、最善と考えたもの)を取り入れ、いかに後世に残すか。
100年後、200年後の大工さんたちが、この家を触る際に恥ずかしくない仕事をしておかなければいけません。
今、「伝統構法を世界遺産へ」の活動が始まりました。日本の技術が見直されようとしています。
薄利多売の時代は終わり、価値あるものを望む。そんな風潮になってきているように感じます。
日本の建築に興味のある方の見学を歓迎いたします。
問合せ TEL 090-2352-5465 四代目 尾上 結希 まで。