古い記事を読み直してみました。
記事は、朝日新聞の2007年5月17日版
先代が、人に見てほしくて持ち歩いていたもの。
伝統構法の強みである粘りの作用は、まず土壁が先行し次いで仕口、通し貫と続き
最後に、伝統構法の真髄である石場建ての免震効果であると記事にある。
尾上組は在来支流の昨今でも、なお、この石場建てにこだわるのは、あらためて間違いないと確信した。
伝統構法は柔軟で、非常によく揺れるのは分かっているが、建物全体が、しなやかに揺れを分散
しているのは、実大実験の動画でもよく確認できます。
揺れに不安はありますが絶対に倒れないことが大前提だと考えています。
もちろん家具の固定等の対策は必要になるが、この伝統構法が何千年と地震から耐えてきたのは
歴史が証明しています。
たかだか戦後70余年の在来工法が9割以上を占めているのは非常に残念である。
もう一つ大事なことは、自然素材で造り上げるという事。
僕の考える自然素材を使う意味としては、やはり室内環境の事です。
土(発酵土)や木は、空気中の湿度を調整し、除菌までしてくれます。
上っ面だけの、自然素材に、だまされている人は決して少なくないと感じています。
予算の都合や工期で、やむを得ないことも考えられますが、ここは施主さんがもう少し学ばなければ
ならないのではないでしょうか?
100年後、土に還る家こそが究極のエコ住宅なのかな?と思います。
それには、我々伝統技術を継承する職人が日々精進し後世に伝えていく努力がまだまだ足りてない
様に感じていますが、険しい道のりです。
今年も、もう残りわずかに、なってしまいましたが来年も引き続き、この思いを念頭に置いて
やっていきたいと思います。
では、また来年も宜しくお願い致します。